愛知県名古屋市に本社を構える愛知時計電機株式会社(以下、愛知時計電機)は、ガスメーター製品や水道メーター製品の市場において国内トップクラスのシェアを誇る大手メーカー企業。1898年に時計メーカーとして創業した同社は、後に持ち前の高い精密加工技術を武器に水道メーターをはじめに、ガスメーターの分野に進出。瞬く間に国内を代表するメーカーへと成長し、現在ではそのほかにも工場や各種インフラ設備向けの計測機器や、上下水道および農業・工業用水施設の監視・制御システムの提供なども手掛けている。
そんな同社が現在力を入れている事業の1つに、データ配信サービス「アイチクラウド」がある。これはLPガスメーターや水道メーターの検針データを、携帯電話の無線通信網を介してクラウド上に集め、その情報をインターネット経由で容易に参照したり、データを自由に利用できるようにしたもの。ガス・水道事業者は、このサービスを利用することでそれまで人力に頼っていたメーター検針作業を無人化できるとともに、検針データを活用して自社業務の効率化を図ったり、新たなサービスを自社ユーザーに提供できるようになる。
アイチクラウド(LPガス版)のサービス提供に至った背景について、愛知時計電機 営業本部 IoT推進部 部長 齊藤満氏は次のように説明する。
「少子高齢化が進む中、LPガス事業者様の多くは人手不足に悩まされています。そんな中、ネットワークを介した自動遠隔検針は作業の省力化に役立つだけでなく、悪天候下での検針や人が立ち入りにくい場所での検針も容易に行えるようになります。また検針だけでなく、メーターが異常を検知した際に担当者にメールでアラートを通知したり、遠隔地から弁を開閉することも可能になります」
また、アイチクラウドは検針データを外部システムと連携できるインタフェース(API)を備えており、これを活用することで、例えば販売管理システムとのデータ連携による料金請求業務の自動化といった業務効率化が図れたり、Web検針票など、その先の一般消費者の利便性を向上させることができる付加価値サービスへのデータ利活用が可能となるなど、様々なメリットを享受することができる。