神奈川県内で最大級の規模を誇る損害保険・生命保険代理店の株式会社朋栄では、営業活動の機動性・柔軟性向上のためにノート型シンクライアント端末を営業担当者に支給。そのセキュアな運用のために「VIDAAS by Horizon DaaS(以下VIDAAS)」によるクラウド型VDIの仕組みを新たに導入した。またあわせてオンプレミス環境で運用してきた社内サーバと、大手パブリッククラウドサービス環境上で運用してきた基幹システムを「Next Generation EASY Cloud(以下NGEC)」のクラウド環境上に移行し、それまで抱えていたシステム運用上のさまざまな課題を解決した。
神奈川県横浜市に本拠を構える株式会社朋栄は、神奈県内において最大級の規模を誇る損害保険・生命保険代理店。横浜銀行の個人・法人の利用者が主な顧客層で、同行を通じて紹介を受けた顧客に対して損害保険11社、生命保険会社16社が提供するさまざまな保険商品の中から最適な商品を提案し、地域の人々に安心を提供し続けている。
同社の営業担当者は日々顧客先に出向いて保険商品の商談に従事しているが、かつては社外にPCを持ち出すことができず、営業活動の機動性や柔軟性の面で課題があったという。
「オフィス内では個々の従業員に1台ずつデスクトップPCが割り当てられていましたが、社外へ持ち出し可能なデバイスとしては一部でタブレット端末が利用されていた程度で、社外で行われる商談の場でPCを使った機動的な対応を取れていませんでした」
こう語るのは、同社 総務部 兼 企画部 水野浩平氏。一部の営業担当者からは、社外にモバイル端末を持ち出して機動性の高い商談対応を行うとともに、場所を選ばずに働ける新たなワークスタイルの実現を希望する声も上がっていたという。そんな折、もともと利用していたデスクトップPCが導入後5年目を迎え、ちょうど更新時期に差し掛かっていたことから、これを機に思い切って営業担当者向けにノート型シンクライアント端末を導入することになった。
ノートPCの社外持ち出しには多くのメリットがある半面、紛失や盗難に伴う情報流出のリスクがどうしても付きまとう。この課題を解決するために、当初はノートPC内に保存されたデータを強制的に削除するセキュリティツールの導入なども検討したが、日々利用する業務アプリケーションとの互換性に不安があり、採用までには至らなかった。
そこで注目したのが、同社の出資先であり、ともに横浜銀行と深い関係にある横浜振興株式会社におけるVDI(仮想デスクトップ)導入事例だった。横浜振興では当時、アイネットのクラウド型VDIサービス「VIDAAS® by Horizon DaaS(以下VIDAAS)」を利用しており、水野氏らはその高い評判をかねてから耳にしていた。
「アイネットは神奈川県下の企業でもあり、もともとよく知っていました。実際にアイネットのデータセンターを見学させていただく機会もあり、とても先進的で堅牢な仕組みをお持ちだということは存じ上げていました」(水野氏)
こうした背景や他社事例があったことから、同社ではノート型シンクライアント端末導入とあわせてVIDAASのクラウドVDIサービスも導入し、社外での端末利用時の情報漏えい対策を強化することにした。VIDAASではユーザーのデスクトップ環境はすべてアイネットのデータセンター内にあるクラウド環境上で稼働しており、ユーザーが利用する端末上にはデータは一切残らない。そのため万が一端末が紛失・盗難に遭っても、そこから機密情報が漏えいする心配はない。
一方、社外環境で端末をインターネットにつなぐとサイバー攻撃の脅威に直接さらされてしまうため、安全な閉域網を経由してアイネットのデータセンターに接続できる仕組みを別途導入した。これに関してもアイネット側からセキュアな通信サービスに関する情報提供や提案があったため、適切な通信サービスを選ぶことができたという。
「通信サービス以外にも、弊社の用途に最も適したサーバスペックの見積もりなども、弊社のSIパートナー会社の担当者とアイネットが密に連携を取りながら検討してくれたおかげで、VIDAASの導入作業は極めてスムーズに運びました」(水野氏)
まずは30台分のデスクトップ環境をVIDAAS上に構築し、営業担当者のノート型シンクライアント端末から使えるようにした。オフィス構内での無線LAN接続がなかなか安定しないなどの初期トラブルに見舞われたものの、アイネットの技術者による親身なサポートの甲斐あってほどなくして解決し、その後さらに30台分のデスクトップ環境を追加導入して現在に至っている。
もう1つ同社が長年抱えていたITの課題として、社内で利用しているファイルサーバおよびセキュリティサーバの災害対策があった。これらのサーバは長らく自社オフィス内に設置されたサーバ室で運用されており、可用性や災害対策の面で不安があったという。
「弊社のオフィスが入居しているビルは比較的古く、震災などに見舞われた際の堅牢性や電気設備の安定性などに不安がありました。またデータの遠隔バックアップも完ぺきにはできていなかったため、システムの可用性や冗長性を高める必要性があるとずっと感じていました」(水野氏)
またサーバにトラブルが発生したり、ビルの計画停電が実施される際にはさまざまな対応作業に追われており、多くの手間と時間が割かれていたと同時に、当時は水野氏以外にサーバの運用を担える人材がいなかったため、業務継続性の面でも大いに問題があった。
そこで、既にVIDAASの導入・運用で実績のあったアイネットのクラウドサービス「Next Generation EASY Cloud®(以下NGEC)」を新たに導入し、これまでオンプレミス環境で運用してきたサーバをNGECのクラウド環境上へと移転することにした。この作業もSIパートナー会社とアイネットが綿密に連携を取りながら実施した結果、大きなトラブルが発生することもなくスムーズに移行でき、かつその後も安定して稼働を続けているという。
「セキュアかつ堅牢なアイネットのデータセンターでサーバを運用していただくことで、弊社側では一切手間を掛けずに災害対策や可用性の担保が実現できています。それまでサーバの運用管理に要していた手間がなくなり、業務が効率化されたとともに、大きな安心感を手に入れることができました」(水野氏)