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導入事例

三重県庁

導入顧客
三重県庁
https://www.pref.mie.lg.jp/
業種
公共・自治体
導入サービス

ポイント

  • 国の方針に係る改修を柔軟に対応
  • システム上で各種データの一元管理を実現
  • 電子化・データベース化で情報の検索性が大幅に向上

食品衛生法改正を機に衛生管理業務のデジタル化を一気に加速させた三重県庁

 三重県庁 医療保健部 食品安全課では、食品衛生法の改正に対応するために「Life Guardian」を導入して所管業務の情報システムを刷新。食品衛生法の所管業務だけでなく、動物取扱業および環境衛生関連業務のシステム化もあわせて実現し、庁内業務のデジタル化とペーパーレス化の取り組みをより一層加速させた。


食品衛生法改正に対応するためのシステム刷新

 三重県庁内において、主に食品衛生や動物取扱業、環境衛生などの業務を所管する医療保健部食品安全課。同課は食品衛生法や食品表示法、旅館業法、公衆浴場法、動物愛護管理法などさまざまな法律を所管しており、それぞれを担当する職員が「食品衛生班」「食品表示班」「生活衛生・動物愛護班」の3つの班に分かれて業務にあたっている。
 食品衛生班は、食品等事業者の許認可や監視業務を行う県内9カ所にある保健所や、検査業務を行う3カ所の機関と連携しながら業務を行っている。同班 山﨑翔気氏によれば、それ以外にも同班では食品衛生法にまつわるさまざまな業務に携わっているという。
「法改正への対応も重要な業務の1つです。国の制度が変わった際に県としてどう対応するのか、その方針や予算を検討したり、県下の事業者の方々に制度改正について周知・啓発していくことも私たちの重要な仕事の1つです」
 事実、2021年6月に改正食品衛生法が施行された際にはさまざまな対応業務が発生し、中でも情報システムの対応にはかなり注力したという。当時、食品衛生班の一員として情報システムの刷新を担当し、現在は生活衛生・動物愛護班のメンバーとして動物取扱業や環境衛生関連の業務に従事している尾崎由佳氏は、当時を次のように振り返る。
「食品衛生法の改正によって、それまで各自治体が独自に行っていた食品衛生関連の行政プロセスを全国で統一していく方針が決まりました。具体的には許認可の申請書や申請項目のフォーマットが全国で統一されたり、許認可の対象業種が大幅に入れ替わったほか、情報システムの面でも国が統一システムを開発することになり、各自治体が運用するシステムはその仕様に合わせる必要が出てきました」
 これまで食品安全課では、三重県庁の業務プロセスに特化したシステムを外部ベンダーに依頼して開発し、利用し続けてきた。しかし食品衛生法の改正に対応するためには、許認可の対象業種をがらりと変え、さらに国のシステムとの連携も新たに実装する必要があり、そのための既存システムの改修には多大なコストと時間を要すると考えられた。
 また、食品衛生法に係る行政プロセスの全国統一の流れは今後より加速していくことが予想され、これまで通り三重県の行政プロセスに特化したシステムを使い続けていては、国の方針が変わるたびに自分たちの予算でシステムを都度改修しなくてはならない。
「その点、三重県以外の自治体でも広く使われる汎用製品であれば、国の方針にいち早く対応でき、かつ他県の担当者からの指摘が反映されることで高い品質が保たれるのではないかと考えました。加えて、従来のシステムは食品衛生法と旅館業法の所管業務にしか対応しておらず、それ以外はExcelやAccessを使ったデータ管理に頼っていました。そこで今回の食品衛生法の改正を機に、これらの業務もまとめてシステム化できればと考えていました」(尾崎氏)


ISTソフトウェアの「Life Guardian」の導入を決定

 2018年6月に改正食品衛生法が国会で可決され、2021年6月の施行が決まったことを受け、食品安全課では2019年より新システムの仕様検討を開始した。新たに許認可の対象となる具体的な業種など、新制度の詳細が政令や省令で明らかになるのを待った後、2020年6月に総合評価一般競争入札を公示してシステム開発ベンダーを募った。
 この入札に対して4業者が応札し、それぞれ自社のシステム構築・運用プランを提案書としてまとめて提出した。これを受け、食品安全課では提案書の内容や各社のプレゼンの内容を精査し、また入札額の価格もあわせて総合的に評価を行った。その結果、最終的にこの新システム開発プロジェクトを落札したのが、保健所向け生活衛生管理システム「Life Guardian」を擁するISTソフトウェア(株式会社アイネットグループ)だった。
 複数の提案の中から最終的に同社のLife Guardianを選定した理由について、尾崎氏は次のように説明する。
「当時は食品衛生法の改正に関する情報が国から小出しに出されていたこともあり、今後継続的にシステム改修が発生することが予想されました。その点ISTソフトウェアさんは、『国の方針に係る改修であれば保守の範囲内で対応する』という方針を打ち出していたため、コストを最小限に抑えながらシステムを国の方針に順次合わせていけると考えました」
 また他の業者より短い開発期間を提示したことも、選定の大きな決め手の1つになったという。
 こうしてLife Guardianの採用が正式に決まり、導入プロジェクトが立ち上がった。システムの実装に当たっては、将来起こり得るシステム改修をなるべくシンプルに行えるよう、カスタマイズを最小限に抑えて極力標準機能のみを利用する方針を立てた。しかし一部の業務プロセスに関しては、どうしても製品の標準機能ではカバーしきれなかったため、一部の機能に関しては三重県庁独自のカスタマイズを施した。
 こうしたカスタマイズの内容を検討する際も、ISTソフトウェア側の担当者が事細かに要件をヒアリングし、県庁側の担当者とのやりとりを密に行ったため、仕様検討の作業は極めてスムーズに運んだという。毎週1回、互いの担当者が一堂に会するWeb会議のミーティングを開催したが、そのために利用するWeb会議用端末もISTソフトウェア側から提供された。
 なおLife Guardianは、一般的に保健所が網羅する生活衛生業務の5分野(食品衛生、環境衛生、動物取扱業、医務衛生、薬事衛生)それぞれに対応するモジュールを提供しているが、今回三重県庁ではこれらのうち、医療保健部 食品安全課が所管する「食品衛生」「環境衛生」「動物取扱業」の3分野に対応するモジュールを導入した。
 2021年6月の改正食品衛生法施行まで1年を切っている切羽詰まった状況の中、システム開発作業は急ピッチで進められたが、三重県庁とISTソフトウェア双方の担当者の努力の甲斐あって、2021年6月の法律施行に合わせて無事本稼働にこぎ着けることができた。


制度対応のためのシステム改修にも柔軟に対応

 国が定めた新たな制度に対応するために、新システムは旧システムと比べ入力項目が増え、そのため保健所や検査機関のユーザーの中には当初戸惑う者もいた。しかし山﨑氏によれば、「運用を続けるうちにやがて利用に慣れ、導入後2年経った今では業務現場に定着してきています。特にもともと手動で業務を行っていた職員は、システム導入による業務効率化のメリットを早々に感じてくれているようです」という。
 また三重県庁の職員にとっても、情報公開請求があった際にこれまでは関係各所から人手でデータを集めて集計する必要があったが、Life Guardianの導入後はシステム上で各種データを一元管理できるようになり、システムの簡単な操作だけで情報公開用のデータを手早くまとめられるようになった。
 さらには、これまで紙やExcelシートで管理されていた情報が電子化・データベース化されたことにより、情報の検索性が大幅に向上した。これまでは欲しい情報がある際には、紙の書類の山から目当ての書類を引っ張り出してくる必要があったが、今回のLife Guardian導入によって「システム上から検索するだけで、欲しい情報にすぐアクセスできるようになりました。こうした導入効果は、今後システムの運用を続けていきデータが蓄積されていけばいくほど、顕著に表れてくると思います」と山﨑氏は期待を込めて話す。
 しかしながら、実はLife Guardianの稼働開始後、何度かトラブルも発生している。そのたびにISTソフトウェアの技術者が迅速に対応に当たった。
「100%止まらないシステムというのはあり得ませんから、万が一止まってしまった際にいかに迅速に対応できるかが大事だと思います。その点ISTソフトウェアさんは、システムに問題が生じた際には、こちらから連絡すれば即座に対応していただけるため、とても助かっています」(山﨑氏)
 また2021年6月の本稼働開始後も、制度対応のための細かなシステム改修がたびたび発生したが、その際もISTソフトウェアは新たなニーズをきめ細かく拾い上げ、柔軟な対応を行ってきたという。尾崎氏は今後とも同社のこうした柔軟な対応に期待するとともに、将来的には他の業務にも同様の仕組みを活用していきたいと抱負を述べる。
「現在国が行政のデジタル化を推進していますが、三重県庁でもデジタル化の専門部局を設け、各種申請の電子化やオンライン化、業務のペーパーレス化などを推し進めています。今回のLife Guardian導入はこうした動きの先駆けとも言える取り組みであり、今後他の業務でもニーズが出てきた際には、ぜひ適用を検討したいですね」

お問い合わせ先

担当部門/株式会社ISTソフトウェア SP事業部 営業部

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