フリーワード検索

導入事例

株式会社静岡銀行

導入企業
株式会社静岡銀行
https://www.shizuokabank.co.jp/
業種
金融
導入サービス

ポイント

  • Excelを活用したモデル管理
  • 全ての配賦経路のコストを分析可能
  • DBレスのシステム構築で高コストパフォーマンスを実現

“地銀の雄”がさらなる躍進を図り新たに導入した「活動基準原価計算システム」

三大地銀の一角を占める大手地銀の静岡銀行では、これまで長きに渡って利用し続けてきた活動基準原価計算システムが抱える課題を解決するために、新たにアイネットの「ABC Financial®」を導入。活動基準原価計算にまつわる課題を一気に解決するとともに、将来の経営体制刷新やDX推進を見据えたデータ活用のさらなる進展を実現した。

長年に渡る活動基準原価計算の取り組みにシステム上の課題が

 静岡県静岡市に本店を構え、日本を代表する地方銀行の1行として静岡県エリアのみならず東京都や神奈川県、大阪府、愛知県、さらには海外にも広く拠点を展開する静岡銀行。2022年10月には持株会社「しずおかフィナンシャルグループ」を設立し、グループ各社が手掛ける多様な金融サービスを一手に束ねることで、銀行業だけに留まらない総合的な金融サービスを顧客に提供していくことを目指している。

 そんな同行の経営を支える重要な施策の1つに、商品や顧客、店舗などさまざまな切り口での原価を精緻に把握する「活動基準原価計算(ABC:Activity‐Based Costing)」がある。同行 経営企画部 事業戦略ALMグループ 村松明良氏によれば、同行における活動基準原価計算の取り組みは既に20年の歴史を持つという。

 「2002年から海外製のパッケージソフトウェア製品を導入して活動基準原価計算を行っていました。各種システムのデータを取り込んで顧客別、店舗別、商品別といったさまざまな単位で原価を算出し、営業部門をはじめとする現場のユーザーに収益情報として分かりやすい形で提供してきました」

 こうした仕組みは、営業部門による顧客別のコストパフォーマンス評価や、経営陣や経営企画部による商品開発や店舗展開などの戦略を立案する上で一定の効果を発揮した。その一方で課題も少なくなかったという。

 「システムの使い勝手があまり良くなく、組織や商品の改編があった際の調整が難しかったため、柔軟な運用が困難でした。また原価を算出する計算プロセスを可視化しにくく、現場から『なぜこの原価なのか?』という問い合わせがあった際に説得力のある説明がなかなかできませんでした」

 こうしたシステム面での課題があったため、同行の経営陣および経営企画部の間では「活動基準原価計算の効果を十分に活かしきれていない」という課題意識があったという。

地銀での採用実績が豊富な「ABC Financial」の導入を決定

 こうした課題を解決し、より経営に寄与できる活動基準原価計算を実現すべく、2019年から新たなシステムの導入を検討し始めた。次期システムのベースとなるソフトウェア製品に関する情報を収集する中、真っ先に候補として挙がったのが、アイネットが提供する金融機関向け活動基準原価計算システム「ABC Financial」だった。

 村松氏が初めてABC Financialのことを知ったのは、地銀での豊富な導入実績を耳にしたのがきっかけだったという。

 「地銀は横のつながりが強く、担当者同士が集まって情報交換を行う場がたびたび開かれています。そうした場で他行ではどのような原価計算システムを使っているか尋ねてみたところ、多くの方からアイネットの製品の名前が返ってきました」

 他行での導入実績が豊富だということは、きっと優れた製品であるに違いない。そう考えた同行は、早速アイネットとコンタクトをとり、ABC Financialに関する詳しい情報の提供を受けた。その結果、「これまで現行システムで抱えていた課題や不満が、ABC Financialを導入することで解決されるのではないか」と考えるに至ったという。

 例えば組織や商品の改編があった際も、ABC Financialは各種設定情報をエクセルベースで管理しているため、容易に設定情報を変更することができる。また原価の計算結果だけでなく、計算の過程も可視化されるため、もし計算結果に疑問を抱いた場合も速やかにその原因を突き止めて適切な調整を施すことができる。

 ABC Financial以外の製品も幾つか選定候補に挙げてその仕様を調べてみたが、同行が挙げる要件を確実に満たし、かつ地銀における導入実績がABC Financial以上に豊富な製品は他には見つからなかったという。またコストパフォーマンスの面でも、ABC Financialは他製品に比べ明らかに優れていた。

 こうした検討結果を受け、最終的に同行はABC Financialの採用を正式に決定した。

アイネットの豊富なノウハウを活かしたスムーズな導入

 同製品の導入プロジェクトは2020年10月からスタートした。要件定義に半年間をかけ、旧システムの原価計算ロジックをABC Financialに移植する方式を検討した。それとともに、旧システムでは実現が困難だった実店舗以外の非対面チャネルの原価把握や、銀行店舗とは別に住宅ローンを専門に取り扱う「ローンセンター」の原価を把握するための仕組みを新たに組み込んだ。

 このように難度の高い導入プロジェクトではあったが、村松氏はアイネットが持つ豊富なノウハウや丁寧な仕事ぶりに感嘆したと当時を振り返る。

 「アイネットのご担当者様は他行での豊富な経験と実績をお持ちだったので、とても話が通じやすかったですね。弊行の原価計算ロジックは、他行のものと比べてかなり複雑だと思うのですが、それでも根気よく付き合っていただき正確に理解してもらえました。また、今回の導入に合わせて新たに盛り込んだ要件についても的確な対応をしていただき、本当に助かりました」

 こうして要件定義を無事に終えた後、さらに半年間ほどかけて開発・テストを行い、2021年11月から旧システムとの並行稼働を開始した。その間、旧システムとABC Financialとの計算結果の違いなどを調整した後、2022年4月から旧システムの稼働を停止し、単独稼働を開始した。正式リリース後はトラブルもなく安定稼働を続けている。

 テストおよび並行稼働の間、ABC Financialのさまざまな機能を検証してきた村松氏は、改めてその使い勝手の良さを実感したという。

 「あらかじめABC Financialの使い勝手の良さについては説明を受けていたのですが、実際に自分の手で触ってみて改めてその使いやすさを実感しました。もともと課題と感じていた『商品や組織に改編があった場合の調整』や『計算ロジックのトレース』などもとても簡単に実行できるので、これなら今まで活動基準原価計算で抱いていた課題や不満を確実に解消できるだろうと思いました」

持株会社体制下での活用も視野に

 現在同行の経営企画部では、月数回の頻度で活動基準原価計算を行っている。システムをABC Financialに移行した後は明らかにシステム操作がシンプルになったことで、今まで1時間半ほどかかっていた業務が20分ほどで完了するようになり、業務効率化につながっているという。現段階では本格稼働を開始してからまだ日が浅く、商品・組織の改編などは行っていないが、今後そうした事態が発生した際も「旧システムよりはるかに柔軟かつ速やかに対応できるはずです」と村松氏は自信を覗かせる。

 特に2022年10月に持株会社体制へ移行し、グループ経営の重要性が高まるなか、ABC Financialの柔軟なカスタマイズ性は大いに効力を発揮するだろうと期待を寄せている。

 「現在持株会社体制下での中期経営計画を策定しているところです。中長期的な経営戦略を策定する上で活動基準原価計算を積極活用したいという経営陣の意向もあり、今後ABC Financialが担う役割はさらに大きくなっていくと思われます」

 現在村松氏らを中心に、持株会社体制下での原価シミュレーションをABC Financialを使って行えないか検討を進めている。また、連結決算ベースの原価計算を行うためにグループ会社から情報を収集する方法方式も今後検討していきたいという。

 なお、ABC Financialを直接利用しているのは経営企画部門に限られているが、今後は計算結果の他部署での活用も積極的に検討していきたいと同氏は抱負を述べる。

 「ABC Financialは他部署の業務にもとても役立つ情報を提供できますから、今後その利用価値を行内でさらに周知させて、適用範囲を広げていければと考えています。銀行にも現在デジタルトランスフォーメーション(DX)の波が押し寄せており、データ活用のさらなる進展が叫ばれていますが、ABC Financialはこれを実現する上で極めて重要な役割を果たしてくれるだろうと大いに期待しています」

お問い合わせ先

担当部門/DX本部

TOP