フリーワード検索

アイネットブログ

チャーンレートとは?いま注目される理由と不可欠な3つの視点

2021年12月14日解説

近年、よく聞かれるようになったマーケティング用語に「チャーンレート」があります。

チャーンレートとは「解約率」のこと。重要KPIとして、チャーンレートに着目する企業が増えているのです。

本記事では、チャーンレートの基礎知識から改善するために不可欠な視点まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。

チャーンレートとは何か?基礎知識

まずはチャーンレートとは何か、基礎知識から押さえていきましょう。

チャーンレートの意味

冒頭でも触れましたが、チャーンレート(Churn Rate)は、日本語で「解約率」を指します。

チャーン(Churn)は、あまりなじみのない言葉かもしれません。「撹拌する(かき混ぜる)、激しく動く」という意味の英語です。

例えば、牛乳からバターを作る回転機器をバターチャーンと呼びます。

ここから転じて、契約会社を次々に乗り換える移り気な顧客や、ブランドスイッチ(他社へ乗り換え)して離れていく顧客を"チャーン"と呼ぶようになりました。

「チャーンレート=解約率」と訳されますが、契約しないビジネス(解約が発生しないビジネス)でも、"自社の商品・サービスの利用をやめた顧客の割合"として活用される指標です。

チャーンレートの計算式

チャーンレートでは、「一定期間に商品・サービスの利用を停止した顧客のパーセンテージ」を計算します。

例えば、100人の顧客がいて、そのうちの10人が商品・サービスの利用を停止したなら、チャーンレートは【10%】となります。
・(10人 ÷ 100人)×100=チャーンレート【10%】

計測対象とする期間は、企業やビジネスモデルによって異なります。月次・四半期・年次などが多いケースです。

ここでは「月次」の計算例を見てみましょう。

月初に100人の顧客がいて、月末までに5人の顧客が商品・サービスの利用を停止したなら、月間チャーンレートは【5%】となります。
・(5人 ÷ 100人)×100=月間チャーンレート【5%】

チャーンレートがいま注目される背景

端的にいえば「顧客離れの発生率」を示すチャーンレート。なぜいま改めて注目されているのか、その背景を見ていきましょう。

SaaS型のサブスクリプションビジネスの台頭がきっかけ

大きなきっかけとなったのは、SaaS(Software as a Service)型のサブスクリプションビジネスの台頭です。

必要機能だけをネット経由で利用できるSaaSの市場は、クラウド時代の新しいソフトウェアの提供形態として2015年頃から急拡大しました。

▼ 世界のクラウドサービス市場規模の推移及び予測(カテゴリ別)

引用)総務省|令和2年版 情報通信白書|レイヤー別にみる市場動向
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/html/nd114110.html

SaaSにはサブスクリプションが採用されることが多く、今や私たちの生活にはサブスクリプションのサービスがあふれています。

サブスクリプションとは、年会費・月額料金など、一定期間の利用料金を支払う課金方式です。

ユーザーにとってサブスクリプションは、気軽に利用しやすいメリットがあります。なぜなら、不要になればいつでも解約すれば良いからです。

逆に事業者サイドから見れば、新規顧客を獲得しやすい反面、競合他社へ簡単にスイッチされるリスクをはらんでいるのがサブスクリプションといえます。

だからこそ、「チャーンレート」に目を光らせ、顧客の離脱や乗り換えを阻止することが重要なのです。

チャーンレートの概念が重要なのはSaaSやサブスクだけではない

では、チャーンレートはSaaSやサブスクリプションで使う指標なのかといえば、そうではありません。

SaaSでもなくサブスクリプションでもないビジネスを展開しているとしても、チャーンレートの概念は重要です。

「長期的に購入継続する既存顧客を維持すること」が、あらゆるビジネスにとって至要たるテーマであることは、いうまでもないでしょう。

新規顧客獲得コストの回収前に顧客が離反すれば赤字ですし、新規顧客の増加ペースよりも既存顧客が離れるペースが早ければ事業は衰退します。

加えて、新規顧客を獲得するよりも既存顧客を維持した方が容易かつコストが低くなります。

▼ チャーンレートが重要な理由
  • 新規顧客獲得コストを回収する前に顧客が離反すると赤字になる
  • 新規顧客の増加ペースより既存顧客の離反ペースが速ければ事業は衰退する
  • 新規顧客を獲得するより既存顧客を維持した方が簡単でコストがかからない

グローバルの先進企業によってノウハウが深化


ところで、チャーンレートと同質の数値を、長年モニターしている企業も珍しくありません。

呼称はチャーンレートではなく、「顧客離脱率」「退会率」「顧客離反率」などが使われていることが多いでしょう。

「今さら目新しいことはない」と感じるかもしれませんが、このタイミングで新しい情報をキャッチアップしておくことは有益です。

なぜなら、SaaS市場に参入したマーケティングやデジタルテクノロジーの先進企業によって、チャーンレートの改善に役立つノウハウが深化しているためです。

具体的に押さえたい3つの視点を、次章でご紹介しましょう。

チャーンレートの改善に不可欠な3つの視点

チャーンレートの改善に取り組むうえで、新たに取り入れたいのが以下3つの視点です。
(1)パーソナライズ
(2)リアルタイム
(3)ロイヤルティ
詳しく見ていきましょう。

(1)パーソナライズ

1つめは「パーソナライズ」です。

パーソナライズとは、顧客を一塊のグループとして扱うのではなく、一人ひとりの個人として"1対1"でコミュケーションを行う手法です。

顧客の好みや興味関心がよく把握された、個人的で人間味のあるコミュニケーションには、顧客離れをくい止めチャーンレートを下げる効果があります。

具体的な実践としては、メール、サイト上で表示する個別ページ、おすすめ商品の提案、SNSでの会話、Web広告の配信などが挙げられるでしょう。

課題として、何千人・何万人という顧客に対しパーソナライズを実践するには、手作業では限界があります。そこでデータを収集・分析し、自動化するデジタルテクノロジーを活用することも重要です。

(2)リアルタイム

2つめは「リアルタイム」です。

パーソナライズでは顧客ごとにコンテンツを最適化しますが、"ひとりの顧客の時間軸のなかでも、さらにリアルタイムに最適化する"というイメージで捉えてください。

重要なのは「"リアルタイムの顧客満足度"にフォーカスしたコミュニケーション」です。

多くの企業は半年〜1年に1回といったスパンで顧客満足度調査をしています。しかし、ひとりの顧客に着目すれば、顧客満足度は刻一刻と変化を続けているのです。

特に、顧客満足度が低くなったとき、即座に必要なサポートやフォローアップができているかどうか。

そのための仕組みを持つことは、チャーンレート改善において大きな役割を果たします。

(3)ロイヤルティ

3つめは「ロイヤルティ」です。

ロイヤルティ(Loyalty:忠誠心)は、顧客が企業やブランドに対して抱く特別な信頼感や愛着の気持ちを指します。

製品それ自体の機能や価格などのスペックとはまた別に、
  • 「このブランドが好きだから、使い続けたい」
  • 「この会社を信頼しているから、継続したい」
  • 「この商品に愛着があるから、乗り換えない」
と高いロイヤルティを持つ顧客が増えるほど、チャーンレートは強力に下がります。

例えば「●●信者」という言い方がありますが、ロイヤルティの極みといってもよいでしょう。

ロイヤルティを高めるテクニックは多々あります。

しかしながら最初にすべきことは、「信者」といってくれるほど熱烈なファンを持つに値する"価値"を提供できているか、自答することです。

その先にロイヤルティの醸成、チャーンレートの改善が見えてくるでしょう。

最後に

チャーンレートの改善に重要なことをもうひとつ付け加えるなら、
「ひとりの顧客と、ずっと長くお付き合いを続けるためには、どうすれば良いか」
と真摯に考え続ける真心ではないでしょうか。

進化を続けるデジタルテクノロジーの活用が、現代のマーケティングシーンで重要な鍵を握ることは間違いありませんが、それだけでは何かが足りない。

担当者の優しさや思いやり、想像力といった顧客への思いと、デジタルテクノロジーが相乗効果を発揮するとき、今までにない価値を持つ顧客体験が生まれるはずです。

三島つむぎ

ベンチャー企業でマーケティングや組織づくりに従事。商品開発やブランド立ち上げなどの経験を活かしてライターとしても活動中。

TOP