フリーワード検索

アイネットブログ

共働き世帯で子どもの習い事はアリ?無理なく続ける工夫と注意点を解説

2023年09月06日生活・子育て

共働き世帯では、仕事が終わったあとに家事や育児をこなさなければなりません。そのため時間に余裕がなく、「子どもに習い事をさせるのが難しい」と悩んでいるご家庭もあるでしょう。

表:習い事や課外教室などでの困りごと*1
(マーカー部分は、特に共働き世帯で困ること)

★送迎での困りごと
  • 仕事があるため、平日の送迎ができない。
  • 習い事の選択肢が狭くなる。
★運営方法での困りごと
  • 月謝の支払いが毎月現金の手渡しで、準備が面倒。
★その他の困りごと
  • 少年野球などで、父親はコーチ、母親はお茶出しや配車といった分担がある。
  • 地方だと習い事の選択肢が少なく、都市部だと定員オーバーで入れないなど、地域によって差がある。
(参考)内閣府「内閣府男女共同参画局ホーム>推進本部・会議等>専門調査会>計画実行・監視専門調査会>計画実行・監視専門調査会(第14回)議事次第>【配布資料】資料2「仕事と子育て等の両立を阻害する慣行等調査の結果について(内閣府説明資料)」P.8*1を参考に筆者作成
https://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/keikaku_kanshi/gijishidai/ka14.html
https://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/keikaku_kanshi/siryo/pdf/ka14-2.pdf

だからといって、親の都合で子どもに習い事をあきらめさせるのはできるだけ避けたいものです。
そこで今回は、共働き世帯でも子どもの習い事を無理なく続ける工夫と、トラブルを避けるための注意点を筆者自身の経験とともに紹介します。

共働き世帯で子どもの習い事を続ける工夫

共働き世帯の子どもの習い事では、送迎や習い事のある日の家事負担の問題を解決しなければ、スタートラインに立つことすらできません。
そこで、「送迎」と「家事」の負担を軽減する工夫を、成功例と失敗例を交えて紹介します。

子どもの習い事の「送迎」問題を解決する方法

子どもの習い事の「送迎」問題では、習い事のある日の送迎だけではなく、発表会の練習などにともなう「送迎」の負担も視野に入れておかなければなりません。また、子ども一人で習い事に通わせる場合は、レッスンや授業の時間などにも注意が必要です。
★工夫例
  • 幼稚園などでオプション利用できる習い事を選ぶ
  • 習い事つきの学童(放課後児童クラブ)を選ぶ
  • 自宅や学童から近い(子どもだけで通える)習い事を選ぶ
  • 送迎付きの習い事を選ぶ
  • 自治体の子育て援助活動支援事業(ファミサポなど)*2などを利用して送迎してもらう
  • 夫婦で役割分担する(送りは母親/迎えは父親など)
  • オンラインスクールなどを利用する
◎成功例
  • 幼稚園でオプション利用できる習い事を選択。幼稚園から移動する必要がなく、習い事が終わるまで迎えに行く必要がないため、時間に余裕ができた。
  • 利用時間に幅がある(15:30~18:30のあいだの1時間)習い事を選択。父親の帰宅時間に合わせて子どもを送り、送り:母親、迎え:父親と役割分担した。
  • オンラインレッスンを利用して、送迎の負担をなくした。
×失敗例
  • 幼稚園でオプション利用できる習い事を選択したものの、発表会の全体練習は本部(自宅から車で約30分)で行うため、送迎の手間がかえって増えた。
  • 自宅から近い習い事を選んだが、高学年になってレッスン時間が遅くなったため、子ども一人で通わせられなくなった。


子どもの習い事がある日の「家事」問題を解決する方法

子どもの送迎問題が解決しても、習い事のある日は何かと忙しくなります。そのため、リモートワークや時短勤務の制度を活用したり、家事の手間を軽減したりするなどの工夫も必要になってきます。
★工夫例
  • 習い事の曜日を終業時間が早い日やリモートワークの日など時間に余裕がある日に限定する(講師の都合や試合で曜日が変わる習い事を避ける)
  • 曜日や時間の変更(レッスンや授業の振り替え)に対応してくれる習い事を選ぶ
  • 習い事の日は家事の負担をできるだけ軽くする(デリバリーやレトルト食品などの利用、掃除は最低限で良しとする、など)
◎成功例
  • 振替レッスンに柔軟に対応してくれる習い事を選び、子どもの体調や親の都合に合わせて通えるようにした。
  • 子どもがオンラインレッスンを受ける時間は別室でリモートワークを行い、子どもの習い事と仕事を両立させた。
  • 習い事の日はミールキットを利用して、夕食の調理に時間をかけないようにした。
×失敗例
  • 習い事の曜日を限定していたが、高学年になり講師にレッスン日を増やすように言われたため、継続が難しくなった。
  • オンライン会議と子どものオンラインレッスンの時間が重なってしまい、互いに集中できなかった。
  • 子どものオンラインレッスン中に、洗濯機や食洗器、掃除機などをうっかり使ってしまい、「先生の声がよく聞こえない!」と子どもに怒られた。

共働き世帯の子どもの習い事で注意すべきこと

共働き世帯で子どもの習い事をする際には、注意しなければならない点もあります。ここでは、トラブルになりやすい事例とともに、解決策を提案します。

ほかの子の親に送迎を頼む:親同士のトラブルで習い事に支障が生じることに......

子どもの送迎を同じ習い事をしている子の親に頼むのは、極力控えるべきでしょう。
お互いの考え方の違いから、人間関係に亀裂が入る可能性も否定できません。このような親同士のトラブルで、子どもの習い事に悪影響がおよぶのは、絶対に避けるべきです。

「送迎が必要なのに、どうしても時間が確保できない」という場合は、自治体の子育て援助活動支援事業(ファミサポなど)*2などを利用するのがおすすめです。家計に余裕がある場合は、キッズタクシー*3の利用も選択肢となるでしょう。

親の都合を優先し過ぎる:子どものやる気や気持ちが置き去りに......

親の都合を優先して子どもに選択の自由を与えないのも、してはいけないことの一つです。

例えば、自分のペースでどんどん勉強を進めたい子に、集団塾は向きません。にもかかわらず、「曜日や講義時間がちょうどいいから」といった親の都合だけで入塾を決めてしまうと、子どもは不満を持つことになり、勉強に対するモチベーションの維持が難しくなるでしょう。

親は子どものスポンサーでありサポーターでもありますが、習い事に通うのは子ども自身です。親の都合と子どもの希望が合致しない場合は、じっくりと話し合い、親子ともに納得できる習い事を選ぶようにしましょう。代替案を示す場合も、子どもの気持ちを優先して無理強いは避けてください。

がんばりすぎる:習い事を楽しめなくなり、継続が困難に......

習い事に夢中になるのは悪いことではありませんが、がんばりすぎると習い事を楽しめなくなってしまいます。これは、親にも子にも言えることです。

親が無理をしてがんばっていると、子どもは敏感に感じ取るものです。小学校の高学年くらいになると、「親に負担をかけている」という罪悪感から、習い事が楽しめなくなる場合もあるでしょう。
また、親のがんばりが無言のプレッシャーとなり、子どもに無理を強いてしまう場合もあるかもしれません。
親も子どもも、無理や我慢があると習い事を続けるのがツラくなります。習い事をしばらく続けてみて、「無理をし過ぎている」「子どもが習い事を楽しんでいないみたいだ」などと感じたら、本当にその習い事が必要かどうかを考え直してみましょう。
特に子どもが幼いうちは「楽しむ」ことを重視して、習い事の要否を考えてみてください。

表:共働き世帯の子どもの習い事でありがちなトラブル
★送迎を他人に頼む
  • ほかの子の親に頼んだ場合
    親同士のトラブルが子ども同士の関係や習い事にも影響するおそれがある。
  • 子どもの祖父母に頼んだ場合
    頻繁に頼むと、祖父母との関係が悪化するおそれがある。
    祖父母の体調が悪いときに習い事を休むことになる。
    お礼などの気遣いが必要になる。
  • 解決策
  • ファミサポなどを利用する。
  • キッズタクシーを利用する。
  • 送迎付きの習い事を選ぶ。
  • 自宅から子どもだけで通える習い事を選ぶ。
★親の都合だけで習い事を決める
  • 子どもの希望に沿わないことがある。
  • 選択肢が狭くなる。
  • 子どものやる気をそぐおそれがある。
  • 解決策
  • 習い事を決める際は、子どもの意見も取り入れる。
  • できることとできないことを子どもに伝えながら、お互いが納得できる妥協点を探す。
  • 曜日や時間が自由に選択できる習い事を探す。
★がんばりすぎる
  • 親ががんばりすぎると、子どもが罪悪感から習い事を楽しめなくなる。
  • 親のがんばりが子どものプレッシャーになる。
  • 習い事を「がんばること」が目的になり、楽しめなくなる。
  • 解決策
  • がんばりすぎない。
  • 無理や我慢を感じたら、習い事の要否を再考してみる。
  • 子どもが習い事を楽しめていない様子なら、声をかけてみる。

習い事は子どもにも親にもメリットをもたらすもの

家庭や学校ではできないことを学べる習い事は、子どもにとっても親にとっても非常に有益なものです。そして、習い事を楽しく続けるためには、子どもも親もがんばりすぎないこと・家族全員で協力し合うことが大切です。

子どもを習い事に通わせるために日常の時間の使い方を見直せば、家事を効率よく進める方法や限られた時間を有効活用する方法なども見つけられるかもしれません。
また、習い事が子どもの将来の選択肢に影響を与えることもあるでしょう。もちろん、家族みんなで協力し合った思い出は、親子ともに大きな財産となるはずです。

共働きでも、子どもを習い事に通わせる方法はきっとあるはずです。お子さんが習い事を希望したら家族全員で話し合う機会を設け、習い事のスタートに向けて前向きに検討してみましょう。






参考文献・参考サイト
*1
(参考)内閣府「内閣府男女共同参画局ホーム>推進本部・会議等>専門調査会>計画実行・監視専門調査会>計画実行・監視専門調査会(第14回)議事次第>【配布資料】資料2「仕事と子育て等の両立を阻害する慣行等調査の結果について(内閣府説明資料)」P.8
https://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/keikaku_kanshi/gijishidai/ka14.html
https://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/keikaku_kanshi/siryo/pdf/ka14-2.pdf
*2
(参考)こども家庭庁「政策>こども・子育て支援>ファミリー・サポート・センター>子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)の概要」
https://www.cfa.go.jp/policies/kosodateshien/family-support/
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e18b0699-53bd-4d02-bd42-f7ebb30c362b/0c29aa7d/20230401_policies_kosodateshien_family-support_01.pdf
*3
(参考)ベネッセ教育情報「子育て>育児・子育て>お役立ち>子育て支援サービス「キッズタクシー」の料金体系や支払い方法は?」
https://benesse.jp/kosodate/201507/20150717-2.html



【エビデンス】
*内閣府「内閣府男女共同参画局ホーム>推進本部・会議等>専門調査会>計画実行・監視専門調査会>計画実行・監視専門調査会(第14回)議事次第>【配布資料】資料2「仕事と子育て等の両立を阻害する慣行等調査の結果について(内閣府説明資料)」
https://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/keikaku_kanshi/gijishidai/ka14.html
https://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/keikaku_kanshi/siryo/pdf/ka14-2.pdf
*バンダイ「バンダイこどもアンケート>バックナンバー>2019年>2019年05月:子どもの習い事に関する意識調査
https://www.bandai.co.jp/kodomo/search_2019.php
https://www.bandai.co.jp/kodomo/pdf/question252.pdf
*こども家庭庁「政策>こども・子育て支援>ファミリー・サポート・センター>子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)の概要」
https://www.cfa.go.jp/policies/kosodateshien/family-support/
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e18b0699-53bd-4d02-bd42-f7ebb30c362b/0c29aa7d/20230401_policies_kosodateshien_family-support_01.pdf

中西 真理

公立大学薬学部卒。薬剤師。薬学修士。医薬品卸にて一般の方や医療従事者向けの情報作成に従事。その後、調剤薬局に勤務。現在は、フリーライターとして主に病気や薬に関する記事を執筆。

TOP